月夜にワイン

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2017年 10月 30日 ( 1 )

北海道に行ってきました~その②~

北海道2日目は、同じく余市のドメーヌタカヒコさんの収穫に伺いました。
もともと果樹、とくにリンゴの産地として有名だった余市町。
ここ4~5年で余市町内には葡萄畑が増え、それに伴いワイナリーも続々と誕生しています。
そのさきがけ的な存在として脚光を浴びているのが、ドメーヌタカヒコさんです。
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季節はすっかり秋めいている北海道。
見渡すかぎりの美しい紅葉に、冷たいけれど心地よい凛とした空気。
「ああ、北海道に来たんだなぁ」と、なんとも言えないうれしい気持ちがこみ上げてきます。
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ドメーヌタカヒコのワイン造りの最大の特徴は「全房発酵」という造り。
収穫した葡萄をそのままタンクに入れっぱなしにしておいて、発酵させるというもの。
全房発酵ではえぐみや苦みの原因ともなりやすい梗を取り除く「除梗」や、
葡萄の粒をつぶしてジュースにする「破砕」という作業を行いません。
そのため、収穫作業の時点である程度の選果作業が必要となります。

収穫作業はただ摘み取るだけでなく、健全な葡萄と灰カビ(貴腐)がついたものを仕分けしながらすすめていきます。
山梨などで収穫作業をしていると、割れてしまった葡萄の実は酢酸が発生し酸っぱいにおいを感じることがあります。
しかし北海道は寒いため、同じように割れてしまってもぐじゅぐじゅの実にならず貴腐化するのだそう。

10月の気温が低かったため糖度がもう少し欲しいところではあるそうですが、今年の葡萄の状態は良い感じ♪♪
色づきもよく、貴腐も抑えられて収量も去年より多く良質な葡萄が出来上がっています!
葡萄の出来がよいことは、作り手さんの表情に一番表れますね。嬉しそうなタカヒコさん。(*'ω'*)

貴腐葡萄はブランドノワール(白ワイン)用の葡萄として使用されます。
「基本的にぶどうは捨てる部分がありません」というタカヒコさんの言葉その通り。

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せいせいと広がる葡萄畑はすべて「ピノノワール」です。
同じように見えますが、タカヒコさんの畑ではクローン(注1)ごとに樹が植えられています。
たとえばフランスから購入したクローンや、スイス系のクローンなど全部で13系統のピノノワールが植えられています。
中には、余市の名栽培家である木村さんセレクションのクローンがあり、これはなんと自根(注2)によるもの。
クローンごとに味わいに微妙な違いがあり、酸味が立っていたり、色味が濃かったり、香りが強かったりと様々。
これらクローンの組み合わせが、タカヒコさんのワインに複雑味をもたらすひとつの要因となっています。


農夫としてのワイン造り
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ドメーヌタカヒコの特徴が「全房発酵」にあるという話に触れましたが、
これは「農家としての生活の延長線上にワイン造りがある」というタカヒコさんの生活そのものが反映されたもの。
「家族だけで、手の届く範囲で、生活に無理のない範囲で行うワイン造りが基本です」というタカヒコさん。
北海道では収穫ののち、すぐ雪が降ります。
1~2月に行う剪定という作業も、この土地では雪が降るまでに終わらせなければいけません。
全房発酵によるワイン造りは農家にとって手間がかからず、集中して剪定作業に取り掛かることができます。

タカヒコさんは自分のワイン造りに対して、このようなことを言ってました。
「例えば味噌は地域によっていろんな味がありますよね。
八丁味噌や、白みそなど、地域によってさまざまな味わいを持っています。
同じように、ワインにもその土地に合った味わいが生まれるはずなんです。
そこに住む農家の暮らしに無理なくあてはまる葡萄栽培・ワイン造りがあって、
その土地の食べ物にあって、そんな地域性の中で手を加えずとも普通に作られるものが”テロワール”ということなんじゃないでしょうか。」

タカヒコさんが選択する全房発酵には、単に作業効率を考えての利点だけではありません。
余市の自然をそのまま、まるごと、ぜーんぶ詰め込んだ発酵槽には、
森の香り、土の香り、華やかな木いちごの香り、そして手仕事の香りがたっぷり詰まっています。
培養酵母を使うのではなく、皮付きの野生酵母を使用することで多様な菌を動かすこと。
それもタカヒコさんのワインがもつ複雑味に結び付いています。



日本の風土の中でー

「日本人は濃いものはいらないんじゃないですかね。
だしの文化には、繊細さがあって、幅があって、余韻があります。
旨みを感じるような柔らかく繊細な味わいのワインを作っていきたいと思います。」

今日ドメーヌタカヒコのワインに多くのファンが熱狂するのは、
日本人としてのアイデンティティを無意識のうちに想起させる味わいだからなのかもしれません。
ドメーヌタカヒコのワインがある食卓には、やはり日本の温かな食卓が浮かびます。
食べることの喜びや農産物の豊かさを感じられることは、なんて幸せなことでしょうか。

”テロワール”という言葉が持つ意味は、単に土壌の個性を指すのではない。
そこで暮らす人々の生活もまるごとつまったものが”テロワール”になるのだということを、
タカヒコさんの姿勢から感じました。

「いままで自分が育んできた感性で、基礎を活かしながらできること」
それが自分が考えるテロワール、そしてこの地だからできるワインになるというタカヒコさん。
凛とした寒さの中で今日も畑に向き合う姿を想像し、
いま自分の置かれたテロワールを自分なりに丁寧に耕すことを大切にしたいと思いました。

2015ヴィンテージのドメーヌタカヒコは、2018年1月1日~店頭販売いたします。
お楽しみに(*'ω'*)


北海道に行ってきました~その③~につづく!



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【注1.クローンについて】
例えば、とてもおいしい実をつける葡萄があったとします。
その葡萄の枝を伸ばしてカットし、台木となる葡萄の樹に接ぎ木をすれば、その理想的なブドウと同様の性質を持つ樹を無限に育てることができます。
接ぎ木を行うことで害虫被害を防ぐことができ、葡萄の品質をある程度把握することができるという利点があります。
どの台木にどの木をつなぐのか、その組み合わせによって出来た樹は「クローン」と呼ばれ、
ピノノワールは現在世界に35種類以上の「クローン」があるといわれています。


【注2.自根】
葡萄はフィロキセラ禍とよばれる害虫に弱い。
その被害は接ぎ木によって防げるが、日本の気候条件の中で自根による葡萄栽培は非常にリスクがあるといわれている。









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by wineID | 2017-10-30 18:45 | ワイナリー