月夜にワイン

wineid.exblog.jp

小さくとも温かなつながりを。

フォトジャーナリストの佐藤慧さんが書いていた文章がとても優しく、とても響いた。


あの日からの8年間を「やっと」過ごしてきた人たちのことを想う。
仮設住宅で暮らす人がまだ多くいることは、意外と知られていないかもしれない。
新しく住宅を再建しても、今度は住宅ローンが始まる。
50を過ぎ、まだ学生の子どもを抱えつつ、住宅ローンを返済することを考えると、何も終わってはいない。
震災直後よりも被災地のことを思って涙があふれるのは、あまりの「終わらなさ」に気づいてしまったからだと思う。
あのとき感じたのとは違う無力さに、やるせなくなる。

昨年陸前高田を訪れたとき、大きなショッピングモールが完成していて、道も変わっていて迷ってしまうほどだった。
「どんな復興を目指すのか」を地元のひとたちが描いたら、私達はその希望を支える役割を担いたい。
もう忘れてしまいたいひともいれば、まだまだ最中にいるひと。いろんな想いを包むような。
慧さんがエッセイの中でこう記していた。

「復興」というものが、明日もまた生きていこうと思える希望を日々に与えるものであるならば、
そこに欠かせないのは、その「虚無」を抱えながら生きていくことを支える
「温もり」を、社会全体で創り上げていくことではないだろうか。
(略)
心の秒針の進む速度は、人によって異なるものだ。
8年経った今、温かな春を感じることのできる人もいれば、まだまだ長い冬の中で、
大切な人への想いを慈しみ、悲しんでいる人もいるだろう。
いつかまた、その心に陽光の差すときまで、周囲の人々、社会がその悲しみを温かく見守ることのできる世界になれば、
それこそが「復興」への第一歩となるのではないか。


これは震災からの復興だけに当てはまることではない。
様々な悲しみに出会ったひとを包む、優しい眼差し。
できるなら、私はいつもそんな温かさを感じあえる社会を目指したい。
小さなワインショップからできることを、小さく紡いでいけたらいいなと、8年目に想う。

自分にしっかりと言い聞かせる。
「祈るよりも、行動を」

それが、私を受け入れてくれて、必要としてくれている高田の人たちへの恩返しだから。






by wineID | 2019-03-13 15:51 | 日常のあれこれ