2019年 03月 20日
<南アフリカワイン旅行記>収穫真っ只中のステレンボッシュ。
まだ暗く肌寒い朝5時。葡萄畑にはトラクターの音だけが聞こえている。
ガタガタ道を登ってくるその音が、長い1日のはじまりを知らせる合図になる。
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今年は収穫直前に涼しい日が続き、葡萄の糖度が思うように上がらなかったらしい。
本来なら終わっているはずの収穫もちょっとずれ込んでいる。
こればっかりは天候次第と分かって入るものの、葡萄畑の管理をするスタッフさんたちはちょっとピリピリモード。
山梨の葡萄畑で作業するあの人の顔がなんとなく浮かんで、しばし想いをはせる。
モノのはじまりが見えにくい時代だからこそ、売り手はこういう”現場の温度感”を大事にしなければいけないなぁ。
「南アフリカは1日の中に四季がある」と教えてくれたひとがいた。
その言葉通り、日中は汗がダラダラ流れるほど暑く、夕方には強風が葉っぱを散らし、夜は冷え込む。
人間にとっては忙しい気候だけれど、この寒暖の差は葡萄には天国で、良質な葡萄を作るのに欠かせない条件でもある。
この日の収穫はメルロー。ぷりっぷり!の果肉をちょっといただくと、心地よい甘さが嬉しい。
畑や葡萄の質、目指すワインの味わいによって機械収穫と手摘み収穫とわけて行われている。
手摘み収穫には、多いときには数十名の季節労働者たちが参加している。
この光景がなんともエネルギッシュ!
聞き慣れないアフリカーンスという言葉が飛び交い、陽気な音楽に合わせて歌う人々の間に、ぽつんと1人いる日本人の私。
名前なんていうの?と聞かれるのでその度に自分の名前を伝えるけれど、
聞き取るのと発音が難しいらしく、その後一度も名前を呼ばれたことはなかった。
客観的に見るとなんだかおかしいな、と笑ってしまう。我ながら、なかなかおもしろい人生。
収穫された葡萄はすぐさま醸造所へ。
ASARAはブドウ畑と醸造所が同じ敷地内にあり、収穫後すぐに醸造できるのが大きな利点のひとつ。
ここからは、セラーで働く醸造チームにバトンタッチされる。
1日が終わるのはだいたい夕方4時〜5時ころ。
山の向こうに沈んでいく夕日をぼーっと眺めながら、みんなで乾杯する時間。
なんともないことをグダグダ話しながら、「じゃあまた明日」と終わる1日にシンプルな幸せを感じる。
by wineID
| 2019-03-20 14:18
| 南アフリカワイン旅行記