2020年 06月 29日
息を吸って吐く。それが生きる道。

ちょっと前にあったコジコジブーム。
そこからさくらももこさんそのものが気になり始めて、
エッセイ『おんぶにだっこ』を読みました。
さくらももこのエッセイといえば『もものかんづめ』が有名ですよね。
ユーモア全開の、おもしろ短編集。
この『おんぶにだっこ』は、さくらももこが3歳くらい~小学校低学年までに感じたことを、
細かな感情の機微とともに綴っているエッセイです。
例えば、さくらももこ自身が
こころの存在に気が付いたとき
ずるをしてしまって、それを言い出せなかった時の胸の傷みなど、
同じ経験をしているわけではないけど、
ああ私にもそういう気持ちを持った時があったなぁと思うお話たち。
そんなシンプルな経験の積み重ねが大人になるってことなんだろうなと、
読み終わったとき、なんとなくせつなさを感じる本でした。
全てを読みおえたのち、あとがきが心に残りました。
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今回の作品で私が皆さんにお届けしたい要素は幾つかある。
その中のひとつとして、人間の根源的な部分への帰還という事がある。
人間の思考回路の仕組みに気が付いた時の事や、善悪の判断や、死の概念等、
ある時、いつか誰でも気がついた時があったはずだ。
その時の気持ちを思い出してほしい。
それは人格形成への大きな影響を及ぼした瞬間であり、
すごくシンプルな自分の魂の骨格が見えてくるだろう。
実は自分はすごくシンプルだったんだという事を、たまには思い出した方がいい時もある。
この作品は、それを思い出す手がかりになるかもしれない。
次の要素として、人間は、幼い頃はピュアだけど、
年月を重ねるに従ってピュアでなくなるのかという事を考えてもらいたいという点だ。
この作品を書きながら、私はすごくその事を思った。
『おんぶにだっこ』あとがきより。
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「自分はすごくシンプル」だということ。
そこに立ち返ることで、とても気持ちが軽くなった気がします。
by wineID
| 2020-06-29 14:08
| 日常のあれこれ