月夜にワイン

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この季節に思い出すこと。

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8月9日、長崎原爆の日。

高校2年生のとき、学校で長崎に行きました。
それは修学旅行という名前ではなく「祈りの会」という名前の旅行。
カトリックの学校らしくキリスト教にまつわる場所を訪れるもので、
来る日も来る日も教会巡り・・・という、教会好きにはたまらない日程です。

毎年この日が来ると、
原爆投下の時間に流れる市の広報サイレンとともに黙とうしながら、
長崎に行ったなぁと、思い出していました。


ところが去年あたりから、もっと具体的に思い出す光景があります。

それは、祈りの会最終日。
宿泊していたホテルから空港に向かうバスの中での出来事です。
3日間を共に過ごしたバスガイドさんが、
「みなさんに最後に伝えたいこと」と前置きをしながらマイクをにぎり、
永井隆の『この子を残して』を暗唱しはじめたのです。
原稿など見ず、まっすぐ前を見て。

十数分間の暗唱だったでしょうか。
なんというか、軽いおしゃべりなんてできない雰囲気がバスの中には満ちていました。

あのガイドさんは、きっと今の私と同い年くらいだったのかな。
「先人の営みを紡ぐこと」を、私たちに見せてくれたガイドさん。

原爆の日になると、そのガイドさんのまなざしをくっきりと思い出します。
それはここ数年の出来事。

高校生の時は気づかなかった大人たちの想い。
年を重ねてやっと気づけることが、増えている気がします。








by wineID | 2020-08-11 16:49 | 日常のあれこれ