ルカワインの前にある小さな公園。
夏休みなど長期休暇の折には、親御さんの帰省に合わせて近所の子どもたちが集まって遊んでいます。
年齢も性別もさまざま。
保育園年少さん、年中さん、年長さんに小学生といった具合です。
おままごとをしたい女子、思いっきり体を動かしたい男子など、時に(いや毎回か)喧嘩もしているのですが、
最終的にはちゃんとまとまるし、譲り合ったり、交換しあったり、教えあったりして、ゆるやかにその場が成り立っています。
そこにあるのは「社会」そのもの。
ただ大人の社会と違うのは、その場に集まる子どもたちの名前や、背景は関係ないということ。
「一緒に体を動かせるなら、それでいい」
彼らをひとつにまとめているのは、シンプルなその思いだけ。
いろんな背景をもった子供たちがとにかく混ざり合う。
そして出来上がる小さな社会。
喧嘩の声や誰かの泣き声が聞こえてくるたび、その健全さに嬉しくなります。
そんなことを思い出したのは、酒井ワイナリーさんのバーダップワインを飲んだから。
東北最古のワイナリーである酒井ワイナリーさん。
酒井さんのフラグシップ的なワインであるバーダップワインは、造りがちょいと面白い。
数種類のぶどうをすべて一つのタンクで発酵させるのです。
年によって収量や原料となるぶどう比率が異なるので、味わいはそのヴィンテージごとに異なります。
最新の2019年ヴィンテージは、
レモンキャンディーや和柑橘などほのかな甘みを感じさせる香りがやさしくふんわりと広がります。
雨でぼんやりした日に試飲したからなのかもしれませんが、
この心地よい甘い風味にとっっっても癒されました。
味わいは、梨をかじっているようなサクサクとしたみずみずしさのある、
いわゆるフレッシュ&フルーティなスタイル。
派手さはないけど、シンプルに美味しいなと思えます。
というか、そのシンプルな素朴さがいい。
このワインに詰まっているのは、いろんな葡萄が混ざり合った小さな社会。
この年の、この比率の葡萄だけが出せる味わい。
さまざまな個性を持つ葡萄が集まって、はじめてできるバーダップワイン。
人も、ワインも、
まざりあってこそ生まれる味わいに、もっと寛容になれたらいいのに。
10月17日(土)追記
抜栓1週間後、試飲した感想は「まるでロワールのソーヴィニヨンブラン!」でした。
すっかり丸くなった輪郭が、果実の旨味を引き立たせています。
美味美味。