月夜にワイン

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絵本を読む、絵本を聴く。

コソダテの学校3919さんにて行われた、
『絵本と音の奏』という時間におじゃましました。
小学生のユイカさんが読む絵本に合わせて、
ピアニストのなっちゃんが即興で音を奏でて合わせていくという時間です。
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絵本を読むユイカさん。
言葉をひとつぶひとつぶ、丁寧にすくいあげるような読み方がとても優しくて心地よい。
ピアノをひくなっちゃん。
はじめからそのように置かれていたような音のハーモニー。

その2つが重なった時、ただ読むだけでは感じられない新しい音の響きが生まれたような感覚が
とても不思議で、とてもぐらんぐらんしました(*_*)

来ていた子どもたちの声もちゃんと存在感があって、
大人もだれひとり偉ぶっていなくて、
シンプルに、「いいな」って気持ちが100%の空間でした。
こういう場所に身を置けるって、本当に幸せだなって思います。

最後に読まれたのは
『水の絵本』。
詩人の長田弘さんが書き、荒井良二さんが描いた絵本です。

最後に読まれたのが長田さんの文章だったからか、
帰り道ずっと頭にぐるぐるしていたのは長田弘さんの詩、”世界はうつくしいと” について。
こういう空間に出会えたことを、
自分の気持ちの揺らぎを感じられたことを、
そんな想いをまるっとふくめて「美しいなぁ」と思える心をちゃんと感じられていることを、
とても有難いなぁと思っています。



『世界はうつくしいと』 長田 弘

うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、
うつくしいということばを、ためらわず
口にすることを、誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
うつくしいものをうつくしいと言おう。

風の匂いはうつくしいと。
渓谷の石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
きらめく川辺の光りはうつくしいと。
おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
太い枝を空いっぱいにひろげる
晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
冬がくるまえの、曇り日の、
南天の、小さな朱い実はうつくしいと。
コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。
過ぎてゆく季節はうつくしいと。
きれいに老いてゆく人の姿はうつくしいと。

一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
何ひとつ永遠なんてなく、いつか
すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。


by wineID | 2021-05-31 11:48 | 日常のあれこれ