月夜にワイン

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箱入り。

突然ですが、昨年末に出産して母になりました。
出産前日までお店に立っていたし、
時々抱っこしながら仕事しているのでご存じの方も多いと思いますが改めて。
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現在7か月の箱入り息子。
初めて入った箱は、アルザス・ジュリアンメイエの箱でした。

こうやって箱に入って遊んでいる姿を見たり、
お客様に抱っこしてもらったり、
声をかけてもらったりしていると、
私もこうやっていろんな人のまなざしの中で大きくなったんだなぁと
商売をしている家の子ならではの感慨にふけっています。
昔は家が酒屋っていうのが本当にイヤだったけれど、
酒屋だからこそ育まれたものがきっとあるはず。


妊娠して体と心にあふれるほどの変化があり、
思い悩んでばかりの10か月間。
通っていた東京のワインスクールもキャンセルし、
東京に行ったり生産者さんを訪ね歩くことはなくなりました。
子どものことを考えたら当たり前だろうと思われるかもしれませんが、
妊娠したことで今までの思考が”母モード”になるほど、
人間は簡単ではないはずです。
頭よりまず体が動くタイプの私にとって
「動きたくても動けない」状況に慣れるのは少々大変でした。
自分本位な自分に嫌気も差しますが、
この葛藤はいまも続いています。

コロナ禍での出産にまつわる悲しいニュースもあり、
FUJIYAMAに負けないくらい情緒がジェットコースター状態でした。
バターになるくらい悩んで悩んで受けたコロナワクチンも、
「本当に打っていいものか」と不安で不安で、
病院の問診を受けながら先生の前で号泣するという
今振り返るとだいぶやばいやつだったなと思います。(笑)

コロナワクチンを打つ・打たないの判断のように
折に触れて様々な重要な決断が迫られるけれど、
その割に周囲のフォローアップやアクセスできる情報は少なく、
(コロナに関しては正しい情報を見極めることも難しく)
あくまで「母の責任」で選択することのなんと多いことか・・・
選択の度にその責任の重さに疲れてしまって
幸せな妊娠期間、とはなかなか縁遠い日々でした。

今もいろいろな悩みは尽きませんし、
「思うこと」と「やれること」のバランスがうまくとれない日々に
焦りと不安でいっぱいです。
そんな時に、
「今はそういう時期だよ。人生はまだまだ長いから。」
と諸先輩方からのアドバイスがとても心強く、
ありがたさしかありません。
遠くに住む友人たちも、
「そろそろ悩むころかと思って」
と、今の私に必要な言葉を届けてくれます。
今度はわたしもそうやって誰かに寄り添えたらいいな。
やさしい気持ちを循環していける人になりたいです。



出産のときに感じた
赤ちゃんが生まれようとするエネルギーは忘れられません。
痛みよりもその圧倒的なパワーのほうが
ずっとずっと心に残っています。
よく聞くような「感動」体験ではなかったけれど、
私にとって初めて味わった、動物的な感覚。
とても強烈でした。
生まれたばかりの息子にかけた
「一緒に頑張ったね」という言葉にはなんの装飾もなく、
身体と心で感じたありのままの感情から出た言葉でした。

出産という体験を通して、
もっと身体的に生きていきたいと
今まで感じたことのない感情を持つようになりました。
具体的にそれがなんなのかは、まだ分からないけれど。


今の自分の状態を表すなら、
「ぼんやり」です。

ぼんやりしながら書いているこのブログ。
この時はこんなこと考えてたんだなと、
自分への振り返りのような気持ちで書いています。

妊娠出産が教えてくれた新しい自分。
未熟な面ばかりが見えてしまいますが、
「それが自分」と引き受けることから始めようと思っています。

これからもよろしくお願いします!(唐突。笑)

by wineID | 2022-08-21 12:10 | 日常のあれこれ