月夜にワイン

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2019年 12月 17日 ( 1 )

<有料試飲レビュー>Domaine Julien Prevel

ずっとルカワインのセラーで寝ていたワインの一つに、ステファン・コセのワインがありました。
「若くして亡くなった生産者」という情報以外、このワインについて知ることがなかった当時の私。
この1本のワインを通して、ロワールの魅力・・
特に、モンルイという地域にはまるとは思いも拠らないことでした。

ステファン・コセについて、新井順子さんが以前書かれた文を引用しますね。

ビオ・ワイン生産者には、ワイン好きが高じて前職をなげうって転職した情熱家も多い。
ステファン・コセもその一人。彼はなんと元クラシックの音楽家だった。
独立前はロワールの重鎮、ナディ・フコー氏のもとで修行し、カベルネ・フランの醸造をしていた。
その後、畑の価格が安いため次々と新進醸造家が誕生しているモンルイで、
シュナン・ブランの白ワインを中心に、赤、ロゼなども手掛けて意欲的な取り組みをしている。
2004年、デビューと同時に大御所評論家ミッシェル・ベタンに認められ、
由緒あるワイン雑誌『フランス・ワイン・レビュー』で大きく取り上げられるという幸運に恵まれた。

モンルイ・シュール・ロワールは樹齢50年の樹のブドウで造ったワイン。
収量は1ヘクタールあたり15ヘクトリットルという耳を疑いたくなるような少なさである。
18か月間、樽でゆっくりと熟成させている。
青りんごの香りから華やかな香りに変わり、ボディがしっかりしているのにしつこくなく、味わいも上品。
年間生産量1000本でフランスで取り合いになっているワインが日本に初上陸。

セラーに入っていたこの1本を、みんなで開けたのは2年前のこと。
ヴィンテージは分からなかったのですが、ふわぁ!と広がる強く美しい香りを思い出します。
冒頭に書いたように2009年に若くして他界されたステファン・コセ。
いま彼が生きていたらどんなワインを作ったのだろうかと、考えても仕方のないことを考えてしまいます。

<有料試飲レビュー>Domaine Julien Prevel_b0016474_10130222.jpg
さて。とても長々と書いてきましたがここからが試飲レビューです。
今週末の試飲でご紹介したのはフランス・ロワール、ドメーヌ・ジュリアン・プレヴェルからこの2本。
1982年、ブルターニュ生まれのジュリアンさん。
元はお風呂屋さんで仕事をしていましたが、自然の中で生活がしたいと醸造家の道へ。
そして縁があり、ステファン・コセの畑を預かることになった生産者なのです。
(なが~い前置きの理由ですm(__)m)
コセが守ってきた畑で作られるワインってどんな味わい??そこには驚きが詰まっていました。


Freddi Sweet wine 2017
白/やや甘口/微発泡/シュナンブラン100%
備考:発酵がうまく進まず補糖し瓶内熟成
<有料試飲レビュー>Domaine Julien Prevel_b0016474_10123319.jpg
瓶底にはたっぷりの澱。
べっこう色のいかにも美味しそうな外観にそそられます。
シェリー(マンサニーリャ)を思わせる熟成香、良い意味での酸化のニュアンスがとても美しく心を打ちます。
スワリングすると焦がしたカラメル、火を入れたバター、ホイップクリーム、熟れた花梨の香り。
コセのワインを飲んだ時の印象と同じでとても驚きました。

風味と同じニュアンスが味わいにも感じられます。
焼きたてのホットケーキの上に落としたバターのとても芳ばしい香りが口いっぱいに広がり、もうメロメロ。
永遠に続くような繊細な余韻。酸が高いので甘口でも飲み心地が良いです。

抜栓3日目、泡が抜けた状態で試飲をすると極上のデザートワインの様相。
酒質の高さを存分に味わえるこの状態で楽しむのもおすすめです。
ブルーチーズなどと合わせるのではなく、
これ単体で夜景をつまみに飲みたいです。(なんちって)


SEC MACHINE 2018
白/やや甘口/微発泡/シュナンブラン100%
<有料試飲レビュー>Domaine Julien Prevel_b0016474_10122351.jpg
花梨、アカシアのハチミツ、カモミール、レモンの砂糖がけなど重量のある甘い香り。
味わいは香りとは裏腹に、レモンキャンディーのようなゆるい柑橘系を思わせるキリっとした酸があり、
全体のバランスをとっています。
「セックだけど結構甘いなぁ」「キレがあるね」「甘い風味の割に酸が高いね」
だけでは片づけられない、すっきりした飲みごたえをもつ複雑な味わいが残ります。

香りに甘やかさを感じ、最初の口当たりには甘い風味、しかし余韻にはきりりと酸味。
その流れるような味わいの変化が楽しくってグラスが進むワインです。


**********
畑の持ち主が変わっても、どこかに面影を残す味わいは初めての経験でとても面白かったです。
ああこれこれ。これがロワールだよ、だから私はロワールが好きなんだよなぁと、
ロワールへの憧れを改めて胸に刻みました。

by wineID | 2019-12-17 11:39 | ワインの感想